- おと
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おと【弟・乙】※一※ (名)〔同性の兄弟(姉妹)の年下の者の意〕(1)兄から見たおとうと。 また, 姉から見たいもうと。⇔ 兄「父母がなしのまにまに箸(ハシ)向かふ~のみことは/万葉 1804」(2)末子。 一番下の子。
「姉が手を引く~は抱く, 中はてて親肩くまに/浄瑠璃・油地獄(上)」
(3)「乙御前(オトゴゼ){(3)}」に同じ。※二※ (接頭)名詞に付く。(1)兄弟姉妹のうちで, 年が若い, 幼い, 末の, などの意を表す。「~おじ」「~ご」
(2)若く美しい, かわいい, などの意を表す。「~たなばた(乙棚機)」「~たちばなひめ(弟橘媛)」
~は血の緒(オ)〔末子は親と血が最も近いと考えられたところから〕末子が最もかわいいの意。 弟は血の余り。 弟は血の末。II「~といとほしく/浄瑠璃・十二段長生島台」
おと【於菟】(1)虎の異名。(2)猫の異名。 [運歩色葉集]IIIおと【遠・彼方】〔「おち(遠)」の転〕時間的また空間的に遠いこと。 遠方。 おち。「大宮の~つ鰭手(ハタデ)/古事記(下)」「~つ日も昨日も今日も/万葉 3924」
〔現代語では「 おとつい」「おととし」などの語形に残存する〕IVおと【音】(1)空気・水などの振動によって聴覚に引き起こされた感覚の内容。 また, その原因となる空気などの振動。 音波。 人間は振動数20~20000ヘルツくらいの音波を音として感じる。 音の性質は強さ・高低・音色の三要素で表すことができる。「ラジオの~がうるさい」「~を立てるな」「風の~」
(2)(「音に聞く」「音に聞こえた」などの形で)うわさ。 評判。「~に聞こえた乱暴者」
(3)たより。 おとずれ。「男, 久しく~もせで/伊勢 118」
(4)返事。 応答。「小侍従やさぶらふ, とのたまへど, ~もせず/源氏(乙女)」
~に聞・く(1)世間によく知られている。 音に聞こえた。(2)うわさに聞く。「~・くと見る時とは, 何事もかはるものなり/徒然 73」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.